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二十三夜待

  • ryo suzuki
  • 2月21日
  • 読了時間: 1分

更新日:4月9日

先日の噺。

作業の途中材料を探しに、地亭に隣接する放置林を散策していた。

尾根伝いの道なき道を何気なく歩いていると、崖地に面した朽ちた樹木の根元に石が埋まっているのを見つけた。

その石を掘り出すべく無心で土と落ち葉をはらうとそれは現れた。



この仏像はいつから此処で見つけてくれるのを待っていたのだろう。

後に地権者の了承のもと、地亭で祀らせて頂くべく共に下山して冬の水で永年の垢をそぎ落とした。



二十三夜待。

江戸時代から昭和初期まで、旧暦二十三日に月見を嗜む風習があったそうな。

この像はその主尊とされる勢至菩薩であり、古事記にある月読命(つくよみのみこと)の本地仏にあたるようだ。

元禄九年、今から329年前につくられおそらくこの集落の民衆の宴を数百年にわたり見守り、その風習が無くなった後はここでひっそりと隠れていたのかもしれない。


地亭の横穴に据え置いてみた。

此処なら南の空に浮かぶ月が望めるだろう。

そして元禄の世に思いをはせながら、これからは共に二十三夜を愉しむのだ。



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